おとてく

おとてく

作曲家/レコーディングエンジニア。フリーランスでギリギリ生きていけてる33歳が書くメディア。

きちんとギター録れてますか?意外と知らない接続方法とインピーダンスのお話

f:id:oto_tech:20170723220220j:plain

みなさん、ギターの音、きちんと録れてますか?こもったりしてませんか?

 

こないだ、専門学校の学生から「家でギターを録ってるんですけど、なんかこもるというか、変な音で録れるんです」と相談を受けました。

詳しく話を聞いてみると、どうもインピーダンスを理解しておらず、間違った接続方法でギターを録っているということが判明したんです。

 

この間違い、誰でもやってしまいそうな間違いなので、今日はギター録音時の正しい接続方法について書いてみたいと思います。

 

 

インピーダンスとは(ここは読み飛ばしてもOKです)

小難しい話が苦手な人はずーっと下の方までスクロールしてもらっても大丈夫ですw

 

インピーダンスとは、交流における抵抗のことです。

中学で、オームの法則って習いましたよね?
そこで出てきた「抵抗」というヤツです。

インピーダンスには、回路の出力側の端子が持っている「出力インピーダンス」と、入力側の端子が持っている「入力インピーダンス」があります。

 

オームの法則

で、そのオームの法則ですが、
 
抵抗=Ω(オーム)
電流=A(アンペア)
電圧=V(ボルト)
電力=W(ワット)という単位で表し、 
それぞれの値を、
電圧(V)=抵抗(Ω)×電流(A)
と、
電力(W)=電圧(V)×電流(A)
で求めることができるというものです。
 

実際の電気信号のやり取りに当てはめてみます

さて、ここで例えば10Wの電力を送ることを考えてみましょう。
 
電力(W)=電圧(V)×電流(A)から考えると、
①10V×1Aでも10Wだし、
②1V×10Aでも10Wです。
同じ電力の信号をやりとりするにも、電圧を高くするか、電流を高くするかのパターンがあるということですね。
 
抵抗値も計算してみます。
電圧(V)=抵抗(Ω)×電流(A)から考えると、
①のパターンの時には、10V÷1A=10Ω
②のパターンの時には、1V÷10A=0.1Ωとなります。
 
ということは、
①抵抗が大きいと、電圧は高いが電流は流れにくい。
②抵抗が小さいと、電圧は低いが電流は流れやすい。
という法則があることが分かります。 
 

これを、2つの機器を接続する時のパターンで考えると、

入力インピーダンスが高いと、電圧は高いが電流は流れにくい。

入力インピーダンスが低いと、電圧は低いが電流は流れやすい

と言い換えることができます。

 

録音の際に気にするべきは、電圧です

実際、マイクプリアンプで増幅しているのも電力や電流ではなく電圧なのです。

ということで、さきほどの①パターン「入力インピーダンスが高い=高い電圧をかけられる」が理想的な接続だということになります。

 

つまり、2つの機器を接続する際には、

出力インピーダンスより入力インピーダンスの方が高いのが理想なのです。

 

スポンサーリンク
 

 

ロー出しハイ受け(はい!ここから読んで!)

ここからは読んでください!

とりあえず、上で書いたように、出力インピーダンスより入力インピーダンスの方が高いのがセオリーです。

 

これを、

ロー出しハイ受け

と呼んでいます。

 

ギターのピックアップはインピーダンスが高い

ロー出しハイ受けが理想。・・・なんですが、ギター(やベース)のピックアップというのはインピーダンスが高い代物なのです!

しかし、マイクプリアンプの入力インピーダンスはさほど高くはありません。

なので、そのまま繋いでしまうと、ハイ出しロー受けという、セオリーと真逆の接続になってしまいます。

これが、冒頭で出てきた「変な音」の原因ですね。

 

実際に、ギターからマイクプリアンプに直で繋いだ音を聴いてみましょう。

ちょっとこもった感じの、元気の無い音になってしまってますね。
一度この音で録れてしまったら、本来のギターの音には戻せません。
 

ロー出しハイ受けにする方法

ギターは元々インピーダンスが高いので、このインピーダンス値を下げてやらないとロー出しハイ受けになりません。その為の方法は大きく分けて3つ。

 

・DIを使う

f:id:oto_tech:20170910195535j:plain

DIというのは、インピーダンスを下げてくれる機材です。ダイレクトボックスともいいます。
これを間に挿み、
ギター → DI → マイクプリアンプと接続してやると、ロー出しハイ受けのセオリー通りになります。
では、間にDIを挿んだ音を聴いてみましょう。
どうでしょう?
先ほどのマイクプリアンプ直繋ぎの音は、明らかに高域が落ちていましたが、こちらのロー出しハイ受けのセオリー通りの音は、ハリのあるギター本来の音です。
 
・インターフェイスのHi-Zインプットに接続する
実はオーディオインターフェイスにも、DIと同じ機能を持つ入力端子があります。
(全ての機種に装備されているわけではありませんが)
表記は大体4パターンで「ギターの絵」、「DI」、「Hi-Z」、「Inst」のいずれかが書いてあります。
その表記のあるところにギターを挿せばちゃんとロー出しハイ受けになります
※ちなみに「Hi-Z」とは「ハイインピーダンス」という意味です。
 
・エフェクターを使う
ギターやベース用のコンパクトエフェクターは、入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスは低くなっています。
そのため、エフェクターを間に挿んで録音しても、DIを使ったのと同じくロー出しハイ受けになるのです。
ただし、当然エフェクターを通した音になるので、「素の音で録音してDAWのアンプシミュレーターで音を作る」ということがやりづらくなります。
よって、この方法は少しイレギュラーですね。
 

まとめ

・接続の基本は「ロー出しハイ受け」。

・ギターとマイクプリは直接繋がず、間にDIを挿むか、インターフェイスのHi-Zインプットを利用する。
 
 

この記事を書いた人のTwitterはこちら。