以前エンジニアとしての仕事でバンドを録った時の話。
録りはスムーズに終わったんですが、ミックス時、ギタリストから「ローを抑えて」との注文が入ったんですよ。
僕も他のメンバーも「これくらいロー出てた方がいいと思うけどなぁ?」と言ってたんですが、それでも「いや、ローが出過ぎだから抑えてほしい」と。
結局落としどころとして、ギタリストの要望と他のメンバーの要望の中間地点くらいの音に調整してその日は終了。
一旦その段階のミックスをCD-Rに焼いてメンバーに渡し、残りは明日やろう、となりました。
・・・で、次の日。
「すんません、やっぱローもっと出してほしいです!」とギタリストから注文。
みんな「ほらぁ笑」みたいな感じでしたが、さて、なんでこんなことが起きたんでしょう?
スマホのスピーカーから出る音に耳が慣れすぎている
で、そのギタリストと話をしていると、普段音楽をスマホで聴いていると。
たとえCDを買っても、すぐiTunesに取り込んで、それをiPhoneに転送しているそうです。
聴く時にも、基本的にはイヤフォンもヘッドフォンもしないとのこと。
で、自分たちの音源もiPhoneに取り込んで聴いたら、「やっぱり他の曲と比べてローが少ないかも?」と思ったとのことです。
これ、スマホのスピーカーから出てる音を、レコスタのモニタースピーカーで再現しようとしてたんですね。
そのギタリストも理屈では、「スマホのスピーカーはレンジが狭い」、「モニタースピーカーはレンジが広い」というのは分かっていたはずです。
でもそれ以上に、スマホの音に耳が慣れすぎていたので、そのレンジの差を埋められなかったんですね。
アンプの音作りも変わってきてる!?
スタジオやライブハウスの定番ギターアンプのひとつに、マーシャルのJCM2000というのがあります(現在は生産終了)。
すごくジャキジャキとした歯切れのいい歪みが作れて、僕も大好きなアンプです。
が・・・
ここ数年、使ってる人多すぎませんか?
流行りというのもあるでしょうが、中には「絶対そんな音出すようなバンドじゃないでしょ?」という人でも使ってたりします。
20歳前後とかの若いミュージシャンですけど。
僕の仮説ですが、これも、スマホの音に慣れすぎてるからじゃないか?と。
丸みのある歪みでも、スマホで聴くとジャキジャキ系に似た音で聴こえてきますからね。
スマホから聴こえてくるギターの音に一番近い音が作れるのがJCM2000だということなのじゃないかと。
でも慣れた環境で聴くこと自体は大事
と言いつつも、大きなモニタースピーカーでミックスした音を、小さなスピーカーで聴いて確認するというのはよくやります。
ラジカセとか、カーステとか。
矛盾しているように感じるかもしれませんが、それは、「普段よく聴いてる環境で聴いたらどう聴こえるか?」というチェック。
バランスや感じ方の確認が目的です。
だからあくまでメインはモニタースピーカー。
スマホやラジカセから聴こえる音を第一に聴いてはいません。
スピーカーで聴きましょう
いつもはスマホで聴いているのに、いざという時だけモニタースピーカーで聴いても、冒頭の「ロー抑えて事件」みたいなことになります。
普段から趣味で音楽を聴く時、モニタースピーカーでも聴く癖を付けておきましょう!
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