おとてく

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作曲家/レコーディングエンジニアが書く、DTM、作曲、レコーディングメディア。

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オーディオインターフェイスの3ch以降のアウトプットはなぜ必要?

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パソコンに音を取り込み、パソコン内の音を再生するオーディオインターフェイス

音の出入り口としての役割を果たすものですので、DTM・宅録を行うのに必須の機材といえます。

 

さて、そんなオーディオインターフェイスですが、アウトプット(=出力)がたくさんついてるものがありますよね?

たとえばコレはアウトプットが4ch(チャンネル)あります。

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FOCUSRITE ( フォーカスライト ) / Clarett 2Pre USB

 

コレなんかは10chもありますね。

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ROLAND ( ローランド ) / OCTA-CAPTURE UA-1010

 

けど、スピーカーはLとRの2chしか無いし、ヘッドフォンだってそうですよね。

いったい、何のために3ch以降のアウトプットが必要なのでしょうか?

それには、大まかに分けて4つの理由があります。

アナログミックスをする

録音はPro ToolsなどのDAWで行なったとしても、ミックスをアナログ卓で行うことがあります。

 

下の写真のように1トラックにつき1chのアウトプットから出力し、ミキサーに立ち上げていくわけです。

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そのため、録音したトラックの数だけアウトプットのch数が必要になります。

 

リアンプに使う

ライン録りのギターやベースの音を本物のアンプから出力し、それをマイクで集音するのがリアンプです。 

2chしかアウトプットが無いと、スピーカーやヘッドフォンへのアウトプットで埋まってしまい、ギターの音を出力するための余分なアウトプット端子が残っていないため、3ch以降が必要になるのです。

 

リアンプについて詳しくはこちら!

同じ理由で、ミックス時にアウトボード*1のエフェクターを使う場合にも、メインの2ch以外のアウトプットが必要になります。

 

同期演奏の時に使う

バンドの演奏と合わせて、あらかじめ打ち込んでおいた(あるいは録音しておいた)音源を再生することを同期と言います。

ライブで、客席にはクリックが流れずドラマーだけがクリックを聴けるように、

クリックを1-2chアウトから出してドラマーが聴き、同期音源を3−4chアウトから出してPAに送るわけです。

 

同期演奏について詳しくはこちら!

モニターミックスを作る

たとえば歌をレコーディングするときに、

エンジニアは   歌:カラオケを5:5で聴きたいけど、

ミュージシャンは 歌:カラオケを7:3で聴きたいという場合。

 

メインのバランスとは別に、歌いやすいバランスのモニターミックスを作ることが可能です。 

 

下の写真のような感じで、メインの出力(A 1-2)とは別にモニターミックス用にA 3−4にセンドしてあげます。 

ここでは、歌・カラオケ・リバーブすべてA 3-4に送っていますが、歌だけ少し大きめ(+3.0)にしています。

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これにより、ミュージシャンはエンジニアが聴いているバランスよりも歌を大きめに聴きながら歌えるわけです。

また、クリックをA 3-4だけから出力すれば、ミュージシャンだけがクリックを聴くといったことも可能になります。

DJI

単独送りをする

ミュージシャンに、歌やクリック、個別の楽器をそれぞれ送ることを、「単独送り」とか「単独返し」とか言います。

 

「さっきの"モニターミックスを作る"と何が違うの?」と思われるかもしれませんね。

 

こちらは、必要なパートを単独(=ひとつひとつ独立した状態)でミュージシャンの手元のキューボックスに送ってやり、

ミュージシャンがそれぞれ自分の聴きたいバランスになるようボリュームを操作できるようにします。

 

ちなみにキューボックスというのはこういうやつ。

これが各ミュージシャンの手元に1つずつ置かれます。↓

CONISIS / COM1805

 

 

実際のDAW画面を紹介しますね。

ドラムとベースを録った時のPro Toolsセッションです。

ここではドラムはB1、ベースはB2、クリックはB3からセンドしてます。(Bというのはリンクされた2台目のインターフェイスです)

これらがキューボックスに送られ、ミュージシャンは各々、自分の聴きたいバランスにボリュームを調整するわけです。

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複数パートを同時に録る場合なんかは、 

ドラマーは  クリックとベースを大きめに聴きたいけど、

ベーシストは ドラムを大きめに聴きたいという具合に、

それぞれ聴きたいバランスが異なるんですね。

 

だったら、ミュージシャン自身に聴きたいバランスを調整してもらおう、というのが単独送りの考え方です。

 

もちろん、複数パートでなく歌だけを録る場合に単独送りを使って構いません。

ヴォーカリストが自分の聴きたいバランスで声だけを上げるということが可能ですからね。

 

まとめ

以上のような目的で、オーディオインターフェイスの3ch以降のアウトプットが使われています。

 

とくに、演奏しやすいモニターミックスは宅録であっても意識したいところです。

自分で演奏して自分で録るという場合はともかく、誰か他の人に歌や演奏を頼むのであれば、その人がやりやすいようにバランスを整えてあげたほうが、良いテイクを録りやすくなります。

 

興味のある方は、多くのアウトプットを持つインターフェイスを導入されてみてはいかがでしょうか!

 

 

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*1:ミキサー内部のEQやコンプではなく、外部に付け加えられた機材のことを指します。