DTM初心者がつまづくポイントのひとつがドラムの打ち込みです。
生ドラムの経験が無い人からすると「俺のドラム打ち込みって変なのかな?」と不安になることが多いようです。
で、実際にそういう人の曲を聴かせてもらうと、確かにヘンテコなドラムフレーズが散りばめられてるんですよね・・・。
ただ、初めに断っておくと僕はヘンテコなフレーズも大いにアリ派です。
「せっかくコンピュータに演奏させるんだから、人間に再現できないことをやらせちゃおう!」ってのもDTMの魅力ですから。
とはいえ、
「うちのバンドのドラマーに叩いてもらいたい」とか、
「奇をてらったことはしたくない」とかいう場合もありますよね。
そこで、今回はドラム歴20年超(ただし真面目に練習した時間を合計するとドラム歴3日)の筆者がドラム打ち込みのNGパターンをご紹介します!
不可能系
まずは、"不可能"系。
そんなの生身の人間には叩けないよってやつです。
さっきも言ったように、人間にできないフレーズを打ち込めるのもDTMの良さですが、
生・リアルを追求するのであれば、避けておいた方が無難です。
①フィルイン中も右手が刻みっぱなし
ふつう、右手はハイハットかライドシンバル、フロアタムあたりでビートを刻みます。
しかし、フィルイン中もビートを刻みっぱなしはNG!
こういうの。
フィルイン中も右手がハイハットを刻み続けていますね。
これではフィルインを片手で叩いていることになってしまいます。無理です。
解決策
素直にフィルイン中は刻みをやめればOKです。
もちろん右手がライドやフロアでも同じです。
②連打後に両手を使う
連打した直後に両手では叩けません。
こういうの。
スネアの連打のあと、「ダンダンダンダン」というフレーズを叩いていますが、これは不自然です。
連打は右手左手を交互に使っているので、直後に両手を使うとどちらか片手(ふつうは左手)は連続で叩かなければいけないことになります。
解決策
ではどうするか。
よくあるフレーズがこちら。
「ダンダンダンダン」の直前の1打をキックに置き換えています。
これで左手が休めているわけですね。
③サイドスティックを普通のスネアのように使う
ドラム経験の無い方の打ち込みでよく遭遇するのがコレ。
ドラム未経験者からすると普通のフレーズに聞こえるかもしれませんが、これ実は結構な鬼畜フレーズです。
サイドスティックとは、スティックをスネアの上に寝かせて、リムを「コツン」と叩く奏法のこと。
日本ではリムショットとも言います。
普通にスネアを叩く時とはフォームが違うので、ゴーストノートを絡めたり、素早く連打したり、フィルインの中で使ったりはできません。
解決策
そこでこんな風にしてみましょう。
まずゴーストノートは入れないこと。
そして、フィルインは普通のスネアに変更しています。
フィルイン手前でオープンハイハットを入れて間を開けることで、フォームを元に戻す間を稼いでやっています。
④どこにでも入るゴーストノート
ゴーストノートとは、普通にフルショットするのでなく、スティックを低い位置から軽く落とす感じで弱い音を鳴らす奏法です。
主にスネアドラムで使われます。
そんなゴーストノートのNGフレーズがこちら。
対比的に、普通に叩くスネアを「アクセント」と呼ぶことにしましょう。
このNG例では、アクセントの直前・直後にゴーストノートが入っています。
アクセントの際には高い位置からスティックを振り下ろさないといけないので、直前と直後にゴーストノートを入れるのは変なんです。*1
解決策
ということで、アクセントの直前と直後にはゴーストノートを入れないようにしましょう。
ほんとうは、アクセント直後の方にゴーストノートを入れるのはさほど難しくないです。
僕が実際に叩く際にも入れることがありますし。
ただし、打ち込みでアクセント直後にゴーストを入れてしまうと「狙いすぎ」感が出てしまうんです。
個人的には避けるのが無難だと考えています。
可能だがやらない系
続いて、"可能だがやらない"系。
叩けないことはないけど普通そんなのやらないよってやつです。
ドラム未経験者が陥りがちな罠が潜んでます。
⑤クラッシュシンバルの乱用
変なトコでクラッシュシンバルが入るというパターン。
こういうのです。
基本的に、クラッシュシンバルはキックかスネアと同時に叩くものです。
単体で出てくると気持ち悪いのでやめましょう。
解決策
シンプルに、キックかスネアを入れてください。
ただし、クラッシュをハイハットのように刻みで使うパターンは例外。
【参考楽曲】Hoobastank『Out Of Control』
0:24あたりから出てきます。
こういう激しい曲調ではよくあるパターンですね。
⑥キックがスネアのタイミングで入る
4つ打ちでもないのにキックが2拍目・4拍目のスネアと同時に入ってしまってるやつ。
生ドラムでもこういうフレーズを叩く曲は(ごく稀に)あるので、「絶対にダメ!」というほどではないです。
とはいえ、ほとんどの楽曲にはハマらないフレーズなので、避けるのが無難でしょうね。
解決策
これはもう素直にキックを踏むのをやめましょう。
もちろん4つ打ち曲は例外。
【参考楽曲】フレデリック『オドループ』
00年代から10年代前半に流行った「生バンドの4つ打ち」です。
こういう曲では4分音符のタイミングで全部キックを踏みます。
逆に4分音符以外のところにはあまり入れない方がいいですね。
また、あくまで2拍目・4拍目のスネアと同時に入るという話ですので、フィルインも例外です。
まとめ
初めにも言ったように、僕はヘンテコなフレーズも大いにアリと思ってます。
というのも、僕はなまじっかドラムが叩けるせいで、無意識に人間が叩けないフレーズを避けて打ち込んでしまうんですよ。
この点はドラムやっててマイナスな点だなぁとは思います。
ドラムが叩けない(=知らない)人が思いつくフレーズにも面白さがたくさん詰まってますから。
ただ、裏を返せば、人間が叩ける自然なドラムフレーズが分かるというのはドラムやっててプラスになったポイントですし、
それはマイナスを補って余りあると思ってます。
今回の記事は、絶対この通りに打ち込んでください!というものではなく、
生身の人間にはこんなの無理だよとか、ドラム知ってる人からするとこういうのは変に聴こえるよっていうパターンのあくまで紹介です。
参考にしてもらいつつ、大いにオリジナリティを発揮したフレーズを作ってください!
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*1:ただし、これは片手でスネアを叩いている場合の話で、両手を使えば可能です。
たとえば、左手でゴーストノート、右手でアクセントといった感じですね。
実際、スネアから始まるフィルインの直前にゴーストノートが入るのはド定番です。