おとてく

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「エレピ」が3種類ある!?混同しないようにしたい3つの鍵盤楽器

「エレピ」ってご存知ですか?

DTMの音色で「E.Piano」とか「Electric Piano」とかの表記でカテゴライズされているやつです。

 

「エレクトリックピアノ」を略して「エレピ」なのですが、 

巷では「エレピ」と言いつつ「エレピではないもの」を指している場面にちょくちょく出くわすんです。

 

混同されやすい鍵盤楽器が3種類ありますので、紹介していきます!

3種類の「エレピ」!?

①エレクトリックピアノ

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まずはエレクトリックピアノ

日本語にすると「電気ピアノ」。
ふつう、「エレピ」と言ったらこれを指します

 

DTMで「エレピの音色」と呼ばれているのもコレです。

  

アコースティックピアノと同じように、鍵盤を弾くとハンマーが内部の弦*1を叩きます。

その振動をピックアップが拾って出力する、という仕組みです。

 

つまり、物理的に、実際に音が出ているわけです。

 

なので、エレクトリックピアノは電気に繋がなくても生音が鳴るのです。

ここがポイント!

もちろんかなり小さい音量なので、アンプに繋いで鳴らします。

 

エレキギターをイメージしてもらうといいです。

エレキギターも、電気に繋がなくても実際に生音が鳴りますね。

 

 

 

代表的なエレピ

フェンダー・ローズ

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おそらくエレピといえば最初に名前が挙がるのがローズピアノでしょう。

ローズピアノ自体は1940年代にはすでに開発されていましたが、最も有名なのはフェンダー社と合弁事業で生産され、70年代以降人気を博したフェンダー・ローズです。

 

ハンマーが音叉を叩き、その振動をピックアップが拾う方式です。

 

こんな感じの音です。

比較的、サイン波に近い、優しい音ですね。

NHKで高校野球の学校紹介をするときに流れているBGMの音、といえばイメージが湧く人もいるのでは?

 

 

ウーリッツァー・ピアノ

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ローズの次に名前が挙がるとしたら間違いなくウーリッツァーです。

こちらはハンマーが金属製のリードを叩き、その振動をピックアップが拾う方式です。

 

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こんな感じの音です。

ローズより少し丸みのある、甘いトーンですね。

 

 

ローズやウーリッツァーは本当にド定番なので、EZ KEYSなど、様々なソフトウェア音源上でその音を聞くことができます。

 

 

クラヴィネット

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中世から存在するクラヴィコードにピックアップを取り付けたのがクラヴィネットです。

 

これも間違いなくエレクトリックピアノの一種です。

が、「クラヴィはクラヴィという独自の鍵盤楽器」というカテゴライズが一般的なので、エレピと言われてクラヴィネットをイメージする人は少ないでしょうね。

 

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こんな音。

クラヴィネットと言えばスティービー・ワンダーでしょう。

 

こういうファンクな感じのちょっとギター的なフレーズに相性抜群です。

 

 

②エレクトロニックピアノ

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続いて、エレクトロニックピアノ

こちらも略せば「エレピ」になります。が、一般的にエレピとは呼びません


アナログ電子回路を用いて生成された音を出力する電子ピアノです。

 

要はアナログシンセみたいなものですね。

 

物理的な音源を持たないので、生音は鳴らないという点が前述のエレクトリックピアノとは決定的に違う点です。

 

このエレクトロニックピアノ、1980年代には後述のデジタルピアノの登場で人気が一気に下火になっていきます。

今ではなかなかお目にかかれません。 

 

 

 

③デジタルピアノ

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最後に、デジタルピアノ

こちらはデジタル電子回路を用いて生成された音を出力する電子ピアノです。

 

ん?さっきのエレクトロニックピアノも電子ピアノだったって?

そうなんです。こっちも電子ピアノなんです。つまり生音は鳴らない。

違いは、アナログかデジタルか

 

サンプリング音源を再生する方式が主流で、要は、楽器屋さんや電気屋さんにたくさん置いてあるやつのことです。

イメージ↓

https://www.shimamura.co.jp/img/shop/gallery/toyosu/image/shop01.jpg

(画像引用:https://www.shimamura.co.jp/shop/toyosu/access) 

 

日本で「電子ピアノ」と言うと、このデジタルピアノを指すことが多いですが、

海外ではデジタルピアノとしか言いません。

このデジタルピアノを指して「エレクトロニックピアノ(=電子ピアノの直訳)」というのは、厳密にいうと誤りなのです。

だけど日本では電子ピアノと言うことも・・・あーややこし。

 

こちらも勿論エレピとは呼びません

が、けっこう呼んでる人を見かけます。混同しないように! 

 

 

 

YAMAHAのCPがややこしい

さて、ここでややこしいのがYAMAHAのCPシリーズ。

YAMAHAのCPシリーズには、エレクトリックピアノエレクトロニックピアノデジタルピアノも全て存在するんです。

 

CPシリーズを音源方式で分類すると、CP-70などの打弦式エレクトリックピアノ(電気ピアノ)の系統、CP-30などのアナログ音源エレクトロニックピアノ(電子ピアノ)の系統、そして現行機種であるCP300などのデジタル音源電子ピアノ(デジタルピアノ)の系統に大別される。

引用:ヤマハ・CPシリーズ - Wikipedia

 

ただ、「CP」と聞いてイメージするのはエレクトリックピアノです。

とくに小田和正さんなどがプレイしていたCP80の印象が強く、多くのソフトウェア音源でも再現されています。( ELECTRIC GRAND PCP-80 など) 

 

「代表的なエレピ」の項にYAMAHA CPも入れたかったんですが、ややこしいので別枠にさせていただきました。

まとめ

エレクトリックピアノ

生音が鳴る「電気ピアノ」。

一般的に「エレピ」と呼ばれるのはこれ。

エレクトロニックピアノ

 電子回路を用いて生成された音を出力する。

日本語にすると「電子ピアノ」。

デジタルピアノ

電子回路を用いて生成された音を出力する。

エレクトロニックピアノとの違いはアナログかデジタルか。

 

 

 

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*1:弦ではなく金属片や音叉を叩くものもあります。