歌ものの楽曲を制作する場合に必要になるのが「仮メロ」です。
「ガイドメロディー」と呼ぶこともあります。
本来なら歌が入るところに、仮で入れるメロディーのことです。
ボーカリストがメロディーを確認するために必要な、「歌の代わり」になる音なのでとても重要なパートになります。
この音色を何にするか、というのが今回のテーマです。
フルート、サックスのような管楽器系
メリット
・比較的人間の声に近い帯域で鳴る。
・ピッチベンドが可能。
・1音の中でのクレッシェンド、デクレッシェンドが可能。
デメリット
・ややもするとダサく聞こえる。
・アタックが遅いため、速いテンポでの細かいフレーズは不自然。
ガイドメロディの定番。
女声ならフルート、男声ならサックスと使い分けている人も多いようです。
1音の中でピッチを上下させるようなメロディーでも、問題なく対応できます。
もろもろ表現できることが人間の声に近い楽器と言えます。
しかし、スーパーのBGM感が出てしまい、ダサく聞こえがちなのが最大のデメリット。
ピアノ系
メリット
・アタックが早く、細かいフレーズも自然に聞かせられる。
・ダサく聞こえにくい。
デメリット
・減衰が早いので、ロングトーンの表現が苦手。
・ピッチベンドさせると超不自然。
・1音の中でのクレッシェンド、デクレッシェンドができない。
・オケの中にピアノの音色を使っている場合は、どれがメロか分かりづらい。
ピアノの音色は、メロディーに使っても「そういう音楽」として成立しやすいです。
そのためダサく聞こえません。
しかし、デメリットも多いです。
ロングトーンをどこで切るのか、が分かりづらいですし、
1音の中でピッチを上下させるようなメロディーも、ピッチベンドが苦手なので対応できません。
発音した後にクレッシェンド/デクレッシェンドもできません。
それらを踏まえて、人間の声とはほど遠い楽器といえます。
(けど、現場では結構使われてるんですよね…)
シンセリード系
メリット
・ピッチベンドが可能。
・1音の中でのクレッシェンド、デクレッシェンドが可能。
デメリット
・管楽器ほどではないが、ダサく聞こえる可能性はある。
・オケの中に似た音色がある場合は、どれがメロか分かりづらい。
これもガイドメロディの定番ですね。
これも音色のチョイスによってはダサく聞こえるかも知れませんが、ガイドメロディーとしては最も無難なところでしょう。
オケの中の音とは明確に差別化させないと、どれがメロか分かりませんので注意が必要です。
ボーカロイドなどの音声合成ソフト
メリット
・歌詞を歌わせられる。
・人間の声とほぼ同じ表現が可能。
デメリット
・作成に時間がかかる。
・聞き手がソフトの声のイメージに引きずられる可能性がある。
・音声合成ソフトの声が苦手な人もいる。
「歌の代わり」としては最も優秀です。
ただ、ほかと比べて作成に時間がかかるのがデメリット。
また、音声合成ソフトの声は個性が強いため、聞き手がそのイメージに引きずられる可能性も多いにあります。
そのため、コンペ等では仮メロに音声合成ソフトを用いるのは禁止になっていることが多いです。
実際に仮歌を録る
メリット
・歌そのものなので意図したメロディーを表現可能。
デメリット
・録音に時間がかかる。
・ボーカリストを雇った場合ギャラが発生する。
・聞き手が仮歌の声のイメージに引きずられる可能性がある。
結局はこれが理想です。仮メロの音色を何にするかという話題なのに卑怯ですが笑
歌の代わりではなく「歌そのもの」なので、作曲者が意図したメロディーを表現できるのが最大のメリットです。
ただ、やはり仮歌の声のイメージに引きずられる可能性はあり、「仮歌禁止」とされることもあります。
※以下、2018年5月29日追記
仮歌を入れる場合、僕はほとんどココナラで依頼してます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
※追記ここまで
おわりに
「仮メロの音色を何にするか」は永遠の課題だと思っていて、「コレ!」といった結論は出せません。
僕はクライアントによって音色を変えています。
基本的には相手の指定どおりの音色にしなければいけませんので。
ちなみに指定が無い場合は、ピアノとシンセリードを混ぜています。
ピアノのデメリットをシンセリードで補うためですね。
歌心のある仮メロを作るにはオススメですよ!
この記事を書いた人のTwitterはこちら。