おとてく

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作曲家/レコーディングエンジニアが書く、DTM、作曲、レコーディングメディア。

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ディレイを使ってここまで出来る!簡単で効果抜群なディレイの使い方5選!

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「コードが分かると作曲が出来る!」シリーズはちょっとお休みして、

今回は「ディレイ」について書かせていただきます!

 

ディレイといえば「音を遅らせる」エフェクター。

が、その使い方しかしていないアナタは非常にもったいない!

パラメータの設定をちょっといじるだけで、コーラスやフランジャーなど、様々なエフェクト効果を生み出すことが出来るのがディレイなんです。

 

では、Pro Tools標準装備のディレイプラグイン「Mod Delay Ⅲ」を使って、色々なエフェクトを作ってみます。

もちろん、他のDAWのディレイでも同じことができますよ!

 

 

コーラス

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まずは「コーラス」。

音に揺らぎを与えるエフェクターですね。

ギターのアルペジオのフレーズにかけるのは「あるある」です。

これを、ディレイで作ってみましょう。

こんな音になります。

前半はバイパス。後半から(0:10〜)コーラスが付きます。

設定

ルーティング

直接インサート

mix

50%

delay time

10msec〜50msec

modulation depth

10%〜50%

modulation rate

1Hz前後

feedback

少なめorなし

「modulation」は、機種によっては「LFO」と表示されていますが、同じものです。

コーラスをかけたいトラックに直接インサートすればOKです。

ただし、mixを100%にしてしまうと原音が消えてしまいますので、50%にしましょう。

わずかにピッチを揺らした音が遅れて重なることで、コーラス効果が生まれます

そもそも、コーラスというエフェクター自体がディレイを応用して作られたものなんですね。

 

ステレオディレイを使って、左右で微妙に違う数値にしても面白いです。

実際、上のサンプルは左右の数値を僅かに変えて、広がりを生んでいます。

 

 

ジェットサウンド(フランジャー)

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フランジャーを使って作るサウンドと言えばジェットサウンドです。

飛行機のうねるような轟音を再現したエフェクトですね。

これもディレイで作れます。

前半はバイパス。後半から(0:07〜)ジェットサウンドです。

設定

ルーティング

直接インサート

mix

50%前後

delay time

1msec〜3msec

modulation depth

10〜100%

modulation rate

0.05Hz〜0.30Hz

feedback

10%〜95%

フランジャーもディレイを応用して作られたもので、基本的な原理はコーラスと同じです。 

ポイントはmodulation rate。あまり細かい周期にしてしまうと、ジェットサウンドらしいうねりにならないので注意してください。

 

 

エコー

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カラオケ店にある「エコー」はリバーブとは違って、ディレイを使って得た山びこ効果です。

ボーカルのミックスでも、リバーブとエコーを二重でかけるといったことはよく行われています。

実際に作ってみた音がこちら。

後半から(0:07〜)エコーが付いています。

設定

ルーティング

センドリターン

mix

100%

delay time

180msec〜200msec

modulation depth

なし

modulation rate

なし

feedback

10%〜50%

LPF

2000Hz〜8000Hz

「LPF」は、機種によっては「Low Pass Filter」、「HCF」、「High Cut Filter」と表示されていますが、全て同じものです。

エコー的に使う場合は原音もそのまま残したいので、センドリターンでかけます。

※センドリターンの方法については、過去記事のセンドするか?直接インサートするか?プラグインエフェクトの種類による使い方の違いをどうぞ。

 

ポイントはLPFです。ディレイ音を原音より若干こもらせることで音の輪郭がぼやけて、エコーらしくなります

 

 

疑似ステレオ

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1本の音を、疑似的に左右に2本録音したかのように聞こえさせるテクニックです。

アコギ1本のみの録音ですが、後半から(0:05〜)疑似ステレオを付けています。

設定

ルーティング

センドリターン

mix

100%

delay time

20msec前後

modulation depth

なし

modulation rate

なし

feedback

なし

原音と逆方向からわずかに遅れた音が聞こえることで、左右に広がって聞こえます。

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ポイントは、ディレイ音の方が大きくなるように、0よりも多めにセンドすること。

先に鳴った音の方が大きく感じ、音源が偏って聞こえる*1ため、

遅れて出てくるディレイ音を大きくして辻褄を合わせているのです。

 

 

ピンポンディレイ

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音が、左、右、左、右、左・・・と交互に繰り返されるディレイです。 

後半から(0:08〜)ピンポンディレイが付いています。

設定

ルーティング

センドリターン

mix

100%

delay time

8分音符や16分音符等、テンポにあったものがオススメ

modulation depth

なし

modulation rate

なし

feedback

なし

LPF

2000Hz〜8000Hz

ディレイのトラックを2本作る必要があります。

どちらも同じ設定でOKです。f:id:oto_tech:20171008001059p:plain

まず、原音から左のディレイにセンド。この時のセンド量が全体的なピンポンディレイの付き具合に関わってきます。

左のディレイから右のディレイにセンド。センド量は①の時と同じかやや多めくらいがいいでしょう。

右のディレイから再び左のディレイにセンド

 

これで、ディレイが左、右、左、右、左・・・と交互に繰り返されます。

※同じところをループするルーティングになっていますので、センド量を多くしすぎるとハウリングを起こしてしまいます。充分に注意してください。*2

 

 

おわりに

今回紹介したようなエフェクトは、どれも専用のプラグインで同じことが可能です。

しかし、ディレイを使うことで、設定次第では、専用のプラグインでは再現できないような変テコな効果も生み出せることがあります。

上記の数値は、あくまでそれらしい音にするための目安ですので、自分なりに設定を変えて色々なエフェクトを作ってみてください!

 

 

 

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*1:これを「ハース効果」といいます。

*2:DAWによっては、ループするルーティングは組めなくなっているものもあります。