問題:
あなたは新人アシスタントエンジニアです。
ある日、先輩からこんな指示を受けました。
「くじらとたまご、にーごーきゅーで。アタマはななさんね。あ、ななろく通しといて。」
さて、あなたは何をすればいいでしょう。
まるで暗号ですね。笑
ちなみに上の文章中2つはマイクの通称です。
こんな風にレコーディングやPAなどの現場では色んな通称・愛称が飛び交っています。
ある意味ギョーカイ用語ってヤツです。
今回は、マイクに絞ってではありますが、知られざる通称の世界をご紹介します。
ちなみに問題の答は一番下で発表します!
型番をひねって読んじゃった系
ごっぱ
ボーカルマイクの大定番SM58のことです。
「ごっぱち」と呼ぶ勢力や、ふつうにそのまんま「ごーはち」と呼ぶ勢力もいますが、やっぱり「ごっぱ」が定着してますね。
ぱーなな
どこのレコーディングスタジオにも必ずといっていいほど置いてあるU87。
コンデンサーマイクの王様的存在です。
僕はふつうに「はちなな」って呼んでますけどね。笑
実機の音はこちら(ノイマンU87をエミュレートしたプラグイン「BESURE-N87」はU87に本当に似るのか!?試してみました - おとてく)で聴けます。
さんぱち
「漫才マイク」という呼び方でもお馴染みのSONY C-38B。
今でもネタ番組などでよく見かけるマイクです。
声だけでなく、三味線などの邦楽器の収音にも良く使われています。
しごいち
AKGのペンシル型マイクC451のことです。
初めて聞いた時には機関車かな? って思った記憶があります。
("でごいち"と勘違いしてました)
これは他の呼び方知らないですねー。
ふつうに「よんごーいち」とか呼んでる人がいても良さそうなんですが、聞いたことないです。
見た目から閃いちゃった系
くじら
ゼンハイザーのMD421。
まぁ見たまんまです。
ドラム、特にタムのマイクのイメージが強いですが、元々はボーカル用に開発されたマイクですので、声にも向いてます。
ようかん
同じくゼンハイザーのMD441。
ダイナミックマイクのなかでは最高級クラスのマイクではないでしょうか。
距離感と空気感を感じる柔らかい上品な音のマイクです。
「ようかん」のほかに「さんま」と呼ぶ人もいるようですね。
・・・何かしら通称をつけないといけない決まりでもあるのでしょうか。笑
僕はふつうに「よんよんいち」と呼んでいます。
たまご
AKGのD112。
バスドラの胴鳴りや膨らみの収音に最適なマイクです。
ちなみにElectro-VoiceのN/D468をたまごと呼ぶ勢力もあり、その人たちはD112を「ビッグエッグ」と呼んでいます。
がいこつ
エルヴィス・プレスリーなど往年のスターの写真でお馴染みのSHUREの55。
現在では55SHシリーズが、そのレトロな見た目から撮影用に良く使われています。
鉄仮面
ALTECの639。
1940年代に製造された超年代物のマイクです。
現物にはお目にかかったことがありませんが、オークションなどには出回ってるようですね。
番外編
あかさか
Electro-VoiceのRE20。
『夜もヒッパレ』や『ボキャ天』でお馴染みの赤坂泰彦氏(赤坂泰彦 - Wikipedia)がかつて愛用していたことから、こんなあだ名で呼ばれていた時代があります。(まだギリ呼んでる人もいるかな)
『ヒッパレ』時代の古い写真とか見てると、なんとなーく赤坂氏が使ってるのはRE27N/Dに見えるんですけどね。
ただし、「あかさか」と呼ばれていたのは紛れもなくRE20の方です。
ちなみに「うまなみ」という下ネタな通称もあります。笑
問題の答:
くじら
= マイク MD421
たまご
= マイク D112
にーごーきゅー
= K&Mのマイクスタンド25900のこと
アタマ
= ヘッドアンプ(マイクプリ)のこと
ななさん
= Neveのマイクプリ1073のこと
ななろく
= Universal Audioのコンプ1176のこと
つまり、
「MD421とD112をマイクスタンド25900に立てといて。ヘッドアンプはNeveの1073ね。あ、コンプレッサーは1176通しといて。」
と言われていたわけですね。笑
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