おとてく

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なんでマイクの頭を覆う持ち方はダメなの!?

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いきなりですがボーカリストの皆さん!マイクの正しい持ち方してますか?

 

よく、マイクの頭を覆うように鷲掴みしてマイクを持つ人、見かけますよね?

実はアレ、マイクの使用方法としてはかなりNGな持ち方なんです。

  

NGなのは知ってるよという方も、その理由までご存知でしょうか? 

指向性がなくなる!

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マイクの頭を覆う持ち方がNGな理由。

それは指向性がなくなるから!です。

指向性って?

マイクには指向性というものがあります。

マイクのどの向きの音をよく拾うかを示す言葉です。

 

で、マイクが向いている方向(=正面)の音だけを拾うタイプを単一指向性と呼びます。

 

ちょっと難しそうに感じますが、マイクを逆さに持って歌う人なんていないですよね?

要はそれが単一指向性です。

正面の音だけを拾う = ほかの方向の音を拾わないということです。

 

覆うと指向性がなくなる

ところが、マイクの頭を覆うと単一指向性ではなくなってしまうんです。

 

マイクって、よく見ると側面や背面にも穴やスリットがありますよね

例えばこれなんかは分かりやすいです。 

audio technica / ATM25 | サウンドハウス

溝のように穴が空いていますね。 

 

 

 

一般的なボーカルマイクも、よく見ればグリルボール(この部分です)の正面だけでなく背面にも穴が空いてます。

SHURE / SM58 | サウンドハウス

 

 

感覚的には、「前方向の音を拾うなら前にだけ穴を開けてた方が良さそう!」な気がします。

でも実は違うんです。

 

単一指向性ができる仕組み 

後方からの音

マイク後方の音は、まずこの穴から入ってダイアフラム(マイクの先端にある音を拾う部分)に届きます。(①)

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図①

 

その音は正面に回り込んで、少し遅れてダイアフラムの表側にも届きます。(②)

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図②

②の音の方が回り込んでるぶん遅いはずですよね。

しかし、背面の穴からダイアフラムに到達する間には障害物を設けていて、①の音の速度を遅らせているので同時に到達します。

 

すると、この音はダイアフラムの表と裏でプラスマイナスゼロになり打ち消しあうんです。

 

正面からの音 

マイク正面で鳴った音は、まず先にダイアフラムの表側に到達します。

正面の音も後方へ回り込みますが、障害物によって到達がさらに遅くなります。

 

この時間差があるので、打ち消しあうことはありません。

正面からの音だけが強調されるのです。

 

 

つまり、マイクはわざと背面に穴を開けることで、正面の音だけを拾う仕組みになっているんです。

 

マイクの頭を覆うと、回り込んできた後方の音を打ち消すことができません!

よって、余計な音が入ってしまったり、ライブなんかだとハウリングの原因にもなるのです。

 

正しい持ち方 

ですから、こういう持ち方はNGです。

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マイクの頭を覆い隠すように握っています。

これでは単一指向性でなくなってしまいます。

 

 

正しいマイクの持ち方はこういう感じ。

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いいですね。

マイクの頭が塞がれていません。

 

音色も変わってしまう

マイクの頭を覆ってしまうと、指向性がなくなるだけでなく、単純に音色も変わってしまいます。

本来なら打ち消されるはずの音が消えないのですから、当然と言えば当然です。

 

具体的には、歪みっぽい音抜けが悪い感じの音になってしまうんです。 

ただし例外もアリ

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ヒューマンビートボックスや、メタルやハードコア系のデスボイスなんかだと、

音色が変わることを利用して、あえてマイクの頭を覆っていることもあります。

 

ただし、コレはあくまでも

ハウリングしやすくなることは承知の上でのテクニックです。

 

意味もなく頭を覆ってしまうのは、百害あって一利なし!

 

今までマイク正しい持ち方を知らなかったという方、ぜひ、マイクの持ち方を見直してみてください!

 

 

 

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