今回は、「なぜレコーディングスタジオの形はいびつなのか」というお話です。
DTM・宅録をやっている人にとっても、自分の部屋の音響対策の参考になりますので、ぜひご覧ください!
さて、「レコーディングスタジオ 平面図」で画像検索してみてください。
色んなスタジオの平面図がたくさん出てきますが、どこも形がいびつなんですよね。
参考:音響ハウス
どこの壁を見ても斜め!斜め!斜め!
ふつうの四角形の部屋はほとんどありません。
なぜこんな形なんでしょう。
それは、音を鳴らす上で障害となるフラッターエコーという現象を避けるためなんです。
フラッターエコー
フラッターエコーとは、音が壁や天井に当たって反射を繰り返した結果生まれる音です。
バネが鳴ったような高音の「ビーン」という反響音が混じる現象で、音響障害のひとつとされています。
どういう原理?
音は目に見えないので、水でイメージしてみましょう。
水を張った水槽の中に小石を落とすと、波紋が広がりますね。
これが四方の壁にぶつかると、波は跳ね返ります。
今度は反対側の壁にぶつかって、また跳ね返ります。
これを延々と繰り返すのがフラッターエコーの原理です。
実際に音を聴いてみましょう。
有名な日光東照宮の「鳴き龍」はこのフラッターエコーによるものです。
反響音が「ビーン」と鳴っています。
これがフラッターエコーです。
録音やミックスをする部屋でこんな音が鳴ってしまったら・・・。
とても音楽をやれる環境とは言えませんね。
対策
平行面を少なくすればいい
壁に当たって延々と反射を続けるのがフラッターエコーの原理です。
だったら、平行面を少なくしてやればいいのです。
部屋の形をいびつにする理由がコレです。
壁が平行でなければ、音は同じところを延々と行ったり来たりはしません。
あちこちに乱反射しますね。
これによりフラッターエコーが起きないようにしているのです。
吸音もひとつの手
平行面を少なくする以外に、そもそも音を跳ね返りにくくするという方法もあります。
こういう吸音材を壁に施すことで、文字通り、音を"吸って"くれます。
※「吸音」は、音を遮り室外への音漏れを防ぐ「遮音」とは異なります。
もちろん「吸音」にも防音効果はありますが、主目的は音を跳ね返りにくくすることです。
自宅ではどうしたらいい?
では、自宅の部屋でのフラッターエコー対策はどうしましょう?
壁を斜めに・・・は賃貸はおろか持ち家でも簡単には出来ませんよね。
そこで・・・。
家具を置こう
最も手っ取り早い対策は家具を置くことです。
「え?それだけ?」と思われるかもしれませんが、確実に平行面が減る方法です。
しかも、本棚やハンガーラックを置けば、本や衣服が音を吸ってくれるので吸音効果も期待できます。
「音楽をする部屋だし、整然としてた方がいいよね!」という気持ちも分かります。
しかし、がらんどうの部屋では平行面だらけになってしまいます。
吸音材を買って壁一面に敷き詰めるのも手ですが、まずは家具を置いてみてください。
おわりに
今回は音響障害のなかでも「フラッターエコー」に絞ってお話をしました。
これ以外にも音響障害となる現象はいくつかありますが、フラッターエコーは「家具を置く」だけで対処可能です。
最も簡単なんです。
自分の部屋で手を叩いてみて、「ビーン」という高い反響音が混じったら、ぜひ一度試してみてください。
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