今回は、Pro Toolsでの新規セッションの作り方と、オーディオファイルの取り扱いについてご紹介します。
自分のPCで作成したセッションを他で開くとオーディオが見つからない!なんてことにならないように、ここは正しくやっておきましょう。
もちろん、そういった場合の解決法もご紹介しますので、ぜひ知っておいてくださいね!
新規セッションの作成方法
Mac : ⌘ + N
Win : Ctrl + N
で、ダッシュボードというウィンドウが表示されます。
左下の起動時に表示のチェックを入れておけば、Pro Toolsを立ち上げた時点でダッシュボードが開きます。
各種設定
名前
→セッションの名称を入力します。
こちらは後述するセッションフォルダの名前にもなりますので、日付や曲のタイトルなどにしておくといいでしょう。
今回は「Song」という名前を付けておきます。
ローカルかクラウドか
→基本的にローカルストレージ(=自分のHDDやSSDってことですね)にチェックを入れます。
コラボレーションとクラウドバックアップでは、データをクラウド上に保存することができます。
テンプレートから作成
→Drum and BassやDubstepといったいくつかのジャンルのテンプレートから制作を始めることができます。あまり使いません。
オーディオのフォーマット
ファイルタイプ
→BWF(.WAV)を選びます。
「Macの場合はAIFFを選ぶ」としている記事をたまに見かけますが、現在の音楽制作のファイルタイプは、ほぼWavで統一されています。
サンプルレート
→音を時間軸でどれだけ細かく区切る(サンプリング)のかを決める数値です。
簡単にいうと数字が大きいほど高音質だと思ってください。
通常は48kHz以上に設定します。
ただし、サンプルレートが高いほど容量も大きくなります。
ビットデプス
→音の大小の幅をどれだけ細かく表現できるか、だと思ってください。
32ビット浮動小数点数を推奨します。
その理由はそのうち別記事で書きます。
I/O設定
→基本的にはステレオミックスを選びます。
次回以降は、前回使用された形式を選んでおけば、その名の通り前回と同じ形式を選んでくれます。個人で使用するPro ToolsであればそれでOKです。
保存場所
保存場所を選択
→こちらにチェックが入った状態だと、作成をクリックした後で保存場所を選ぶことになります。
選び忘れが無いのでこちらがオススメです。
保存場所...
→こちらにチェックが入った状態だと、作成をクリックした段階で、自動的に現在選ばれている場所(上の写真だと/Users/apple/Desktop)に保存されます。
この場合、保存場所を変更するには保存場所...をクリックします。
セッションフォルダ
Pro Toolsでは新規セッションを作成すると、自動的にセッションフォルダが作られます。
セッションフォルダの中身は以下のようになっています。
〇〇.ptx
これがセッションです。
打ち込んだMIDIデータやインサートしたエフェクト、フェーダーやパンの位置etcの情報はここに記録されています。
ただし、オーディオファイルはこの中には入っていません。
Audio Files
セッションで扱うオーディオファイルが入っているのはここです。
他人にセッションを渡す際や、別のPCにデータを移す際には、セッションだけではなく、このAudio Filesフォルダを含めたセッションフォルダ全体が必要になります。
Session File Backups
初期設定で自動バックアップを有効化しておけば、セッションのバックアップデータが自動的にこの中に入ります。
個数は直近の1〜999、バックアップ間隔は1分〜60分の間で設定できます。
WaveCache.wfm
セッションを開いた際に表示を高速化するために、波形の描画イメージをキャッシュしているファイルです。
削除してしまったとしても、再度自動的に作られます。
オーディオをインポートする際の注意点
Mac : ⌘ + shift + I
Win : Ctrl + Shift + I
で、下のウィンドウが表示され、オーディオファイルを読み込むことができます。
読み込みたいオーディオファイルを選択して、「追加」か「コピー」もしくは「変換」を選びます。
ここで「追加->」を選ぶと、オーディオファイルがAudio Filesフォルダの中に入らないので、基本的にこれは使わないようにしましょう!
「追加->」だと、セッションが別の場所にデータを参照しにいく形になります。下の図のようなイメージです。
この場合、Audio Filesフォルダの中にファイルが無い訳ですから、
別のPCでセッションを開いた際にオーディオファイルが見つからないという現象がおきてしまいます。
もちろんこのままでは音が出ません。
「コピー->」もしくは「変換->」を選べば 、オーディオファイルはAudio Filesフォルダの中にコピーされるので、こちらを選んでください。
変換の必要があるオーディオファイルをインポートする場合には、自動的に「コピー->」の箇所は「変換->」になっています。
よっぽどストレージの容量が逼迫してるとかでない限りはこっちを選びましょう。
【解決策】コピーを保存
「追加->」でオーディオインポートしてしまったセッションを他のPCに移行する必要が出てきた際の対処方法をご紹介します。
バラバラの場所のオーディオファイルを参照している場合でも、「コピーを保存」という機能を使って一箇所にまとめることが可能です。
該当のセッションを開いた状態で「ファイル」メニュー から「コピーを保存...」を選ぶと下のウィンドウが表示されます。
フォーマット
→基本的にはセッション(最新)を選びます。
Pro Toolsには下位互換性があるので、移行先のPro Toolsが古いバージョン(5.1〜9)の場合は、こちらで選んでダウンコンバートが可能です。
セッションパラメータ
→オーディオのフォーマットを選べます。
コピーするアイテム
→オーディオファイルのチェックを入れます。
基本的には、ここにだけチェックを入れておけばOKです。
フォルダ階層を維持のチェックは入れないようにしてください。
オーディオファイルの参照先が階層の深いところだった場合、その階層を再現した無駄にフォルダの多いコピーが作られてしまいます。
その他、
メイン プレイリストのみにチェックを入れれば、表に出ているプレイリストのみをコピーしてくれます。
NGテイクをコピーする必要がない場合には良いでしょう。
選択したトラックのみにチェックを入れれば、その名の通り選択したトラックのみをコピーしてくれます。
クリックトラックや仮歌のトラックが要らないといった場合には、必要なトラックのみを選択した状態で、ここにチェックを入れましょう。
OKをクリックすると、どこにセッションのコピーを保存するか訊ねてきますので、任意の場所を選んで保存をクリックしてください。
以上で完了です。
必要なオーディオファイルが一箇所に集約されたセッションフォルダが作られます。
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