おとてく

おとてく

作曲家/レコーディングエンジニアが書く、DTM、作曲、レコーディングメディア。

当ブログは、アフィリエイト広告を利用、またはプロモーション記事を含む場合があります。

「曲のキー」って何?が分かる!音楽理論なんて知らないという人に向けて解説!

f:id:oto_tech:20170521134231j:plain

よく、カラオケ番組なんかで、

「この曲は"キー"が高い」だとか

「原曲の"キー"で歌えます」だとか、

「"キー"を下げて歌う」だとか、耳にしますね。

 

でも、そもそも「キー」って何なんでしょう?

今回は、「キー」について、音楽理論的な話をなるべく使わず、解説していきたいと思います。

 

「楽曲を聞いて、その曲のキーが何なのか判別したい」という人はこちらの記事をどうぞ!

 

 

 

 

 

では、いきなりですが、これを聴いてみてください。

このメロディー、聴いたことありますか?

 

「え?ドレミファソラシドでしょ?」

と思ったあなた…実は不正解!

聴いてもらったのは「ソラシドレミファ♯ソ」でした!

 

でも、ドレミファソラシドに聞こえましたよね?

まずは、このからくりについて解説していきましょう。

このからくりを知ることが、「キー」とは何ぞや?を知るヒントになります。

 

ドレミファソラシドってそもそも何なんだろう

f:id:oto_tech:20170907195050p:plain

おなじみの「ドレミファソラシド」ですが、ピアノでいうと上の絵のようになります。

 

なんか「全」とか「半」とか書かれてますね。

音楽理論的な話をしないと言っといていきなりですが、次の言葉だけは覚えてください!

 

全音

この「全」は、「全音」といって、鍵盤を1つ飛ばしにした音同士の関係をいいます。

「ド」と「レ」の間には「ド♯」がありますが(黒い鍵盤のトコですね)、飛ばしていますね。

「レ」と「ミ」の間にも「レ♯」がありますが、やっぱり飛ばしています。

 

半音

そして、「半」は、「半音」といって、鍵盤で隣同士になっている音の関係をいいます。

「ミ」と「ファ」の間には、ほかに音が無くて隣同士になっています。

「シ」と「ド」の間も同じですね。

 

ついでに言うと、半音高い音には「♯」(シャープ)という記号がつき、

半音低い音には「♭」(フラット)という記号がつきます。

 

ひとまずこの時点で知っておいてほしいのは

「ド」からスタートして、全 全 全 全 全 と弾いていったのが

「ドレミファソラシド」ということだけ覚えてください。

 

では、ソラシドレミファ♯ソを見てみます

f:id:oto_tech:20170907195125p:plain

先ほど聴いてもらった「ソラシドレミファ♯ソ」。上の絵のようになります。

 

最後のほう、ちょっとややこしそうですが、

「ミ」と「ファ♯」の間に「ファ」があるので、1つ飛ばし=全音です。

そして、「ファ♯」と「ソ」は隣同士なので半音です。

 

これも、 全 全 全 全 全 になっています。 

どの音からスタートしても、全 全 全 全 全 弾いていけばドレミファソラシドに聞こえるのです。

「ドレミファソラシド」は12パターン存在する 

どの音からスタートしても、全 全 全 全 全 と弾いていけばドレミファソラシドに聞こえる。

ということは、

「ドからスタートしたパターン」、

「ド♯からスタートしたパターン」、

「レからスタートしたパターン」…

と続いて、

「シからスタートしたパターン」まで、12パターンのドレミファソラシドがあるということになりますね。

 

1曲のなかで使える音は7つだけ!

あくまで、「基本的には」という注釈がつきますが、1曲の中で使える音は7つしかないのです。

「ドレミファソラシ(ド)」だったら「ドレミファソラシ(ド)」の7つしか使いません。

(最後の「ド」は最初の「ド」と同じ音なので数えません)

 

で、「キー」とは、12パターンの「ドレミファソラシ(ド)」のうち、どれを使っているのかを示すものなのです。

 

 

実例で見てみましょう 

たとえば、

【参考楽曲】スピッツ『チェリー』

f:id:oto_tech:20200504173235p:plain

 

【参考楽曲】星野源『恋』

f:id:oto_tech:20200504173304p:plain


スピッツの『チェリー』は、ドレミファソラシ(ド)が使われています。 

星野源の『恋』は、ラシド♯レミファ♯ソ♯(ラ)が使われています。 

どちらも全 全 全 全 全 となっています。

 

『チェリー』は「ドレミファソラシ(ド)」というキー、

『恋』は「ラシド♯レミファ♯ソ♯(ラ)」というキーとなります。

 

でも「この曲はラシド♯レミファ♯ソ♯(ラ)だね」とかいちいち言ってると面倒ですね。

ご安心ください。

キーにはちゃんと名前があります。

 

キーには名前があります

f:id:oto_tech:20170514222127j:plain

なにやら譜面が出てきましたが、別に譜面が読めなくても構いません!

12パターンあるんだよ!というのを並べてみただけです。

 

名前は簡単です。

ドからスタートする 全 全 全 全 全 の曲なら「Cメジャーキー」。

レからスタートする 全 全 全 全 全 の曲なら「Dメジャーキー」。

 

急にアルファベットが出てきましたが、これは「ドレミファソラシド」の英語での言い方。

ド  = C

レ  = D

ミ  = E

ファ = F

ソ  = G

ラ  = A

シ  = B

となります。

 

『チェリー』は、ドレミファソラシ(ド)なので「Cメジャーキー」。 

『恋』は、ラシド♯レミファ♯ソ♯(ラ)なので「Aメジャーキー」です。

 

12パターンのキーを聴いてみましょう。

こんな感じ。上の譜面の順番で弾いています。

全部「ドレミファソラシド」に聞こえますね。

 

ちなみにメジャーキーの場合は省略して「C」とか「A」とだけ言うこともあります。

ん、メジャーキーの場合・・は?

 

マイナーキーというのもあります

ということで「マイナーキー」というのもあるんです。

でもこの仕組みは簡単。 

メジャーキーの6番目の音から始めるとマイナーキーになります。

たとえば、「ドレミファソラシ(ド)」の6番目から始めると「ラシドレミファソ(ラ)」となります。

並び方が違うだけで、使っている音は同じですが、こんなメロディーになります。

暗い感じのメロディーですね。これがマイナーキーです。

 

で、勘のいい方はお気づきでしょうが、

「ラシドレミファソラ」の呼び名は「Aマイナーキー」となります。

これも12パターンあります。一応譜面も。

f:id:oto_tech:20170514225218j:plain

 

 

転調って?

曲の途中でキーが変わる曲もある

基本的に、1曲の中で使える音は7つだけといいました。

しかし、曲の途中で変わることもあります。

 

たとえば、

【参考楽曲】桐谷健太『海の声』

f:id:oto_tech:20200504173337p:plain
この曲、最初は「ミファ♯ソラシド♯(ミ)」=Eメジャーキーですが、

2'59"から、「ファソラシ♭ドレミ(ファ)」=Fメジャーキーになっています。

 

こんな感じで、曲の途中でキーが変わることを「転調」と言います

転調には色々なパターンがあります。

『海の声』のように最後だけ違うキーになるものもあれば、

キーが変わったと思ったらまた戻ったりするものもあります。

 

「キーが高い」はおかしい?

同じキーでも最高音が違う

「この曲はキーが高いから声が出ない」なんて表現をよく耳にしますが、

厳密に言うとこれはおかしな表現です。

なぜなら、「その曲が高いか低いか」と「キー」は関係ないからです。

 

たとえば、『チェリー』はCメジャーキーの曲で、

最も低い音は「ミ」、

最も高い音は「ド」です。

 

H2Oの『想い出がいっぱい』も同じCメジャーキーの曲ですが、

最低音は「ミ」、

最高音は「ソ」です。

 

いきものがかりの『ありがとう』も同じCメジャーキーの曲ですが、*1

最低音は「ソ」、

最高音は「ド」です。

 

という具合に。

3曲とも同じキーなので、「ドレミファソラシ(ド)」しか使っていないのですが

どの音を一番下(もしくは上)に持ってくるかは決まっていないのです。

 

なので、「この曲はキーが高い」はおかしい表現です。

単純に「この曲は高い」でいいのです。

 

「この曲は高いからキーを下げた」なら正しい

よくカラオケなんかで、「この曲高いからキー下げよう」なんて言いますが、

こっちは正しい表現です。

 

カラオケではキーの変更が出来ますね。

「+1」とか「−1」とかいうやつです。

『チェリー』を「−1」にすると「Cメジャーキー」が「Bメジャーキー」に変わります。

すると最低音が「ミ」→「レ♯」、

最高音が「ド」→「シ」になるわけです。

 

カラオケの「+1」「−1」は、キーを「半音上げる」「半音下げる」という意味なんです。

  

曲のキーを判別する方法

「楽曲を聞いて、その曲のキーが何なのか判別したい」という人はこちらの記事をどうぞ!


 

まとめ

・1曲の中で使えるのは7つの音「ドレミファソラシ(ド)」だけ。

・「ドレミファソラシ(ド)」には12パターンある。

・「キー」とは12パターンの「ドレミファソラシ(ド)」のうちどれを使うかを示したもの。

・メジャーキーの6番目の音から始めるとマイナーキー(暗い感じ)になり、マイナーキーも12パターンある。

・曲の途中でキーが変わることを「転調」という。

・同じキーでも最高音は違うので、「キーが高い」はおかしな表現。

 

いかがでしたか?

音楽理論的な話は極力避け、簡単な言い方で説明したつもりですが、理解していただけたでしょうか?

分からないところがあったら、ぜひコメント欄で質問してください! 

 

 

 

※以下、2017年9月7日追記

キーを判別する方法についてネット上に様々な記事が落ちています。

そのなかに

「最初(最後)のコードがCメジャーコードならCメジャーキー」

とか、

「最初(最後)の音がドならCメジャーキー」

とかいう情報が結構あるんですが・・・

 

これは間違いです!

 

その理屈でいくと「イントロをカットしたらキーが変わるのか!?」って話になっちゃいます。

 

キーとは、前述したとおり、12パターンの「ドレミファソラシ(ド)」のうち、どれを使っているのかを示すものです。

最初(最後)のコードや音は関係ありませんからね!

 

 

この記事を書いた人のTwitterはこちら。 

*1:厳密に言うと、『ありがとう』はド♯を使っています。