よく、カラオケ番組なんかで、
「この曲は"キー"が高い」だとか
「原曲の"キー"で歌えます」だとか、
「"キー"を下げて歌う」だとか、耳にしますね。
でも、そもそも「キー」って何なんでしょう?
今回は、「キー」について、音楽理論的な話をなるべく使わず、解説していきたいと思います。
「楽曲を聞いて、その曲のキーが何なのか判別したい」という人はこちらの記事をどうぞ!
では、いきなりですが、これを聴いてみてください。
このメロディー、聴いたことありますか?
「え?ドレミファソラシドでしょ?」
と思ったあなた…実は不正解!
聴いてもらったのは「ソラシドレミファ♯ソ」でした!
でも、ドレミファソラシドに聞こえましたよね?
まずは、このからくりについて解説していきましょう。
このからくりを知ることが、「キー」とは何ぞや?を知るヒントになります。
ドレミファソラシドってそもそも何なんだろう
おなじみの「ドレミファソラシド」ですが、ピアノでいうと上の絵のようになります。
なんか「全」とか「半」とか書かれてますね。
音楽理論的な話をしないと言っといていきなりですが、次の言葉だけは覚えてください!
全音
この「全」は、「全音」といって、鍵盤を1つ飛ばしにした音同士の関係をいいます。
「ド」と「レ」の間には「ド♯」がありますが(黒い鍵盤のトコですね)、飛ばしていますね。
「レ」と「ミ」の間にも「レ♯」がありますが、やっぱり飛ばしています。
半音
そして、「半」は、「半音」といって、鍵盤で隣同士になっている音の関係をいいます。
「ミ」と「ファ」の間には、ほかに音が無くて隣同士になっています。
「シ」と「ド」の間も同じですね。
ついでに言うと、半音高い音には「♯」(シャープ)という記号がつき、
半音低い音には「♭」(フラット)という記号がつきます。
ひとまずこの時点で知っておいてほしいのは
「ド」からスタートして、全 全 半 全 全 全 半と弾いていったのが
「ドレミファソラシド」ということだけ覚えてください。
では、ソラシドレミファ♯ソを見てみます
先ほど聴いてもらった「ソラシドレミファ♯ソ」。上の絵のようになります。
最後のほう、ちょっとややこしそうですが、
「ミ」と「ファ♯」の間に「ファ」があるので、1つ飛ばし=全音です。
そして、「ファ♯」と「ソ」は隣同士なので半音です。
これも、 全 全 半 全 全 全 半 になっています。
どの音からスタートしても、全 全 半 全 全 全 半 と弾いていけばドレミファソラシドに聞こえるのです。
「ドレミファソラシド」は12パターン存在する
どの音からスタートしても、全 全 半 全 全 全 半 と弾いていけばドレミファソラシドに聞こえる。
ということは、
「ドからスタートしたパターン」、
「ド♯からスタートしたパターン」、
「レからスタートしたパターン」…
と続いて、
「シからスタートしたパターン」まで、12パターンのドレミファソラシドがあるということになりますね。
1曲のなかで使える音は7つだけ!
あくまで、「基本的には」という注釈がつきますが、1曲の中で使える音は7つしかないのです。
「ドレミファソラシ(ド)」だったら「ドレミファソラシ(ド)」の7つしか使いません。
(最後の「ド」は最初の「ド」と同じ音なので数えません)
で、「キー」とは、12パターンの「ドレミファソラシ(ド)」のうち、どれを使っているのかを示すものなのです。
実例で見てみましょう
たとえば、
【参考楽曲】スピッツ『チェリー』
【参考楽曲】星野源『恋』
スピッツの『チェリー』は、ドレミファソラシ(ド)が使われています。
星野源の『恋』は、ラシド♯レミファ♯ソ♯(ラ)が使われています。
どちらも全 全 半 全 全 全 半 となっています。
『チェリー』は「ドレミファソラシ(ド)」というキー、
『恋』は「ラシド♯レミファ♯ソ♯(ラ)」というキーとなります。
でも「この曲はラシド♯レミファ♯ソ♯(ラ)だね」とかいちいち言ってると面倒ですね。
ご安心ください。
キーにはちゃんと名前があります。
キーには名前があります
なにやら譜面が出てきましたが、別に譜面が読めなくても構いません!
12パターンあるんだよ!というのを並べてみただけです。
名前は簡単です。
ドからスタートする 全 全 半 全 全 全 半の曲なら「Cメジャーキー」。
レからスタートする 全 全 半 全 全 全 半の曲なら「Dメジャーキー」。
急にアルファベットが出てきましたが、これは「ドレミファソラシド」の英語での言い方。
ド = C
レ = D
ミ = E
ファ = F
ソ = G
ラ = A
シ = B
となります。
『チェリー』は、ドレミファソラシ(ド)なので「Cメジャーキー」。
『恋』は、ラシド♯レミファ♯ソ♯(ラ)なので「Aメジャーキー」です。
12パターンのキーを聴いてみましょう。
こんな感じ。上の譜面の順番で弾いています。
全部「ドレミファソラシド」に聞こえますね。
ちなみにメジャーキーの場合は省略して「C」とか「A」とだけ言うこともあります。
ん、メジャーキーの
マイナーキーというのもあります
ということで「マイナーキー」というのもあるんです。
でもこの仕組みは簡単。
メジャーキーの6番目の音から始めるとマイナーキーになります。
たとえば、「ドレミファソラシ(ド)」の6番目から始めると「ラシドレミファソ(ラ)」となります。
並び方が違うだけで、使っている音は同じですが、こんなメロディーになります。
暗い感じのメロディーですね。これがマイナーキーです。
で、勘のいい方はお気づきでしょうが、
「ラシドレミファソラ」の呼び名は「Aマイナーキー」となります。
これも12パターンあります。一応譜面も。
転調って?
曲の途中でキーが変わる曲もある
基本的に、1曲の中で使える音は7つだけといいました。
しかし、曲の途中で変わることもあります。
たとえば、
【参考楽曲】桐谷健太『海の声』
この曲、最初は「ミファ♯ソ♯ラシド♯レ♯(ミ)」=Eメジャーキーですが、
2'59"から、「ファソラシ♭ドレミ(ファ)」=Fメジャーキーになっています。
こんな感じで、曲の途中でキーが変わることを「転調」と言います。
転調には色々なパターンがあります。
『海の声』のように最後だけ違うキーになるものもあれば、
キーが変わったと思ったらまた戻ったりするものもあります。
「キーが高い」はおかしい?
同じキーでも最高音が違う
「この曲はキーが高いから声が出ない」なんて表現をよく耳にしますが、
厳密に言うとこれはおかしな表現です。
なぜなら、「その曲が高いか低いか」と「キー」は関係ないからです。
たとえば、『チェリー』はCメジャーキーの曲で、
最も低い音は「ミ」、
最も高い音は「ド」です。
H2Oの『想い出がいっぱい』も同じCメジャーキーの曲ですが、
最低音は「ミ」、
最高音は「ソ」です。
いきものがかりの『ありがとう』も同じCメジャーキーの曲ですが、*1
最低音は「ソ」、
最高音は「ド」です。
という具合に。
3曲とも同じキーなので、「ドレミファソラシ(ド)」しか使っていないのですが
どの音を一番下(もしくは上)に持ってくるかは決まっていないのです。
なので、「この曲はキーが高い」はおかしい表現です。
単純に「この曲は高い」でいいのです。
「この曲は高いからキーを下げた」なら正しい
よくカラオケなんかで、「この曲高いからキー下げよう」なんて言いますが、
こっちは正しい表現です。
カラオケではキーの変更が出来ますね。
「+1」とか「−1」とかいうやつです。
『チェリー』を「−1」にすると「Cメジャーキー」が「Bメジャーキー」に変わります。
すると最低音が「ミ」→「レ♯」、
最高音が「ド」→「シ」になるわけです。
カラオケの「+1」「−1」は、キーを「半音上げる」「半音下げる」という意味なんです。
曲のキーを判別する方法
「楽曲を聞いて、その曲のキーが何なのか判別したい」という人はこちらの記事をどうぞ!
まとめ
・1曲の中で使えるのは7つの音「ドレミファソラシ(ド)」だけ。
・「ドレミファソラシ(ド)」には12パターンある。
・「キー」とは12パターンの「ドレミファソラシ(ド)」のうちどれを使うかを示したもの。
・メジャーキーの6番目の音から始めるとマイナーキー(暗い感じ)になり、マイナーキーも12パターンある。
・曲の途中でキーが変わることを「転調」という。
・同じキーでも最高音は違うので、「キーが高い」はおかしな表現。
いかがでしたか?
音楽理論的な話は極力避け、簡単な言い方で説明したつもりですが、理解していただけたでしょうか?
分からないところがあったら、ぜひコメント欄で質問してください!
※以下、2017年9月7日追記
キーを判別する方法についてネット上に様々な記事が落ちています。
そのなかに
「最初(最後)のコードがCメジャーコードならCメジャーキー」
とか、
「最初(最後)の音がドならCメジャーキー」
とかいう情報が結構あるんですが・・・
これは間違いです!
その理屈でいくと「イントロをカットしたらキーが変わるのか!?」って話になっちゃいます。
キーとは、前述したとおり、12パターンの「ドレミファソラシ(ド)」のうち、どれを使っているのかを示すものです。
最初(最後)のコードや音は関係ありませんからね!
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*1:厳密に言うと、『ありがとう』はド♯を使っています。