Q.百貨店などの商業施設で、閉店を知らせる音楽といえば何でしょう?
・・・こう問われたら『蛍の光』と答えてしまう人が多そうですね。
でも、実は違うんです!
閉店のあの曲は『別れのワルツ』です
多くの人に『蛍の光』だと勘違いされているあの曲の正体。
実は、『蛍の光』とは別物。
古関裕而氏が編曲した『別れのワルツ』という曲なんです。
何が違うの?
『蛍の光』と『別れのワルツ』、2曲を聴いて比べてみましょう。
『蛍の光』
『別れのワルツ』
改めてよく聴いてみると違う曲ですね。
『蛍の光』が4拍子なのに対して、『別れのワルツ』 は3拍子です。
『蛍の光』
『別れのワルツ』
どちらも原曲は同じ
ただ、違う曲とはいえ、そっくりですよね。
実は、どちらも元となった曲は同じで、『Auld Lang Syne(オールド・ラング・サイン)』というスコットランドの民謡なんです。
経緯〜蛍の光〜
明治時代、『Auld Lang Syne』のメロディに日本語の歌詞をつけたものが尋常小学校の唱歌として採用されました。
これが『蛍の光』です。
歌詞の冒頭にある「蛍の光 窓の雪」は、学問に励む事を褒め称える中国の故事に由来しています。
そのこともあり、卒業式の定番ソングとなっていきました。
経緯〜別れのワルツ〜
一方、『別れのワルツ』は米映画の『哀愁(原題:Waterloo Bridge)』が元ネタ。
この映画で主役の2人が踊るシーンで『Auld Lang Syne』を3拍子に編曲したもの("Farewell Waltz"と呼ばれている)が使用されました。
日本でのレコード発売に際して、この曲の原盤が存在しなかったことから、古関裕而氏が改めて編曲したものが『別れのワルツ』です。
『Auld Lang Syne』→『Farewell Waltz』→『別れのワルツ』と、2度の編曲を経た楽曲ということになりますね。
該当のダンスシーンではキャンドルの灯が1つずつ消されていくという演出があり、そのイメージも相まって『別れのワルツ』が閉店の音楽として定着することになりました。
ただし、元ネタの映画の方は『別れのワルツ』よりテンポが早めで、"閉店感"はちょっと薄いかもしれません。
おわりに
古関裕而氏といえば、現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説『エール』の主人公・古山裕一のモデルにもなっている、昭和を代表する作曲家です。
この方がいなかったら、閉店の音楽はまったく別物になっていたのでしょうか。
もしかしたら朝ドラの中でも『別れのワルツ』のエピソードが描かれたりするかもしれませんね。