おとてく

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作曲家/レコーディングエンジニアが書く、DTM、作曲、レコーディングメディア。

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ミュージシャンにはスマホで音楽を聴かないでほしい!という話

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以前エンジニアとしての仕事でバンドを録った時の話。

録りはスムーズに終わったんですが、ミックス時、ギタリストから「ローを抑えて」との注文が入ったんですよ。 

僕も他のメンバーも「これくらいロー出てた方がいいと思うけどなぁ?」と言ってたんですが、それでも「いや、ローが出過ぎだから抑えてほしい」と。

 

結局落としどころとして、ギタリストの要望と他のメンバーの要望の中間地点くらいの音に調整してその日は終了。

一旦その段階のミックスをCD-Rに焼いてメンバーに渡し、残りは明日やろう、となりました。

 

・・・で、次の日。

「すんません、やっぱローもっと出してほしいです!」とギタリストから注文。

みんな「ほらぁ笑」みたいな感じでしたが、さて、なんでこんなことが起きたんでしょう?

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センドするか?直接インサートするか?プラグインエフェクトの種類による使い方の違い

DAWでのプラグインエフェクトの使い方のお話。

リバーブ、ディレイ、EQ、コンプレッサーetc・・・様々なエフェクターがDAWには用意されていますが、その掛け方の違いについて説明します。

 

また、ちょっとイレギュラーな使い方も紹介してますので、ぜひ参考にしてみてください! 

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オーディオストック、再生数に対する売り上げの割合はどれくらいなら良いのか

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僕もいくつか音源を販売しているオーディオストック。

ふと、「皆どれくらい再生されてるもんなのかな?」「購入されてる割合って何%くらいなのかな?」と気になってこんなツイートをしてみました。

 

するとリプライを頂きまして、

なんて会話をしていたら、オーディオストックを運営するクレオフーガ代表の西尾さんからこんなコメントが! 

"1%超えていたら優秀"!

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【こもる!?】宅録だとギターの音がショボい!?インピーダンスってご存知ですか【ライン録り】

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みなさん、ギターの音、きちんと録れてますか?こもったりしてませんか?

 

こないだ、専門学校の学生から「家でギターをライン録りしてるんですけど、なんかこもるというか、変な音になるんです」と相談を受けました。

詳しく話を聞いてみると、どうもインピーダンスを理解しておらず、間違った接続方法でギターを録っているということが判明したんです。

 

この間違い、誰でもやってしまいそうな間違いなので、今日は宅録・DTMでのギターの正しい接続方法について書いてみたいと思います。

  • インピーダンスとは(ここは読み飛ばしてもOKです)
    • オームの法則
    • 実際の電気信号のやり取りに当てはめてみると・・・
  • ロー出しハイ受け(はい!ここから読んで!)
    • ギターのピックアップはインピーダンスが高い
    • 【解決策!】ロー出しハイ受けにする方法
  • まとめ
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【ドラム差し替え】ドラムリプレイサーSlate Digital Trigger 2を導入してみた!【プラグイン】

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ちょっと必要になったので、Slate Digitalのドラムリプレイサー「Trigger 2 」を導入しました!

試聴も用意しましたので、聴いてみてください!

いや〜、これは今まで持っていなかったのが自分でも不思議なくらい即戦力なプラグインです!

  • ドラムリプレイサーとは?
  • Trigger 2の概要
    • こんな音になります
      • オリジナル
      • リプレイス後
    • ロック寄りのサンプルが付属
  • Trigger 2の詳細
    • 検出の精度
      • オリジナル
      • リプレイス後
    • フラムもキレイに差し替わるがゴーストノートは難しい
      • オリジナル
      • リプレイス後
    • Mixバランスを100%未満にした場合
  • Trigger 2でほかにできること
  • こんな人にオススメ
  • おわりに
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音量を下げるとミックスの印象が変わる!?「等ラウドネス曲線」と「ラウドネス効果」を知って楽曲制作のクオリティを上げよう!

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皆さんは「等ラウドネス曲線」と「ラウドネス効果」って聞いたことがありますか?

等ラウドネス曲線とは

周波数によって音量の感じ方が違う

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By Lindosland - http://en.wikipedia.org/wiki/Image:Lindos1.svg, パブリック・ドメイン, Link

等ラウドネス曲線(とうラウドネスきょくせん)は、音の周波数を変化させたときに等しいラウドネス(人間の聴覚による音の大きさ、騒音のうるささ)になる音圧レベルを測定し、等高線として結んだものである。*1

出典:等ラウドネス曲線 - Wikipedia

 

これは、異なる周波数で音を鳴らした時に、人間が等しく感じる音の大きさを表したものです。

 

簡単にいうと、人間の聴覚の特徴として、同じ音量で鳴ってても、聞こえやすい帯域と聞こえにくい帯域があるということです。

低域や高域は、小さな音では聞こえにくいということがグラフから読み取れます。

 

ラウドネス効果

ということは、全く同じバランスのミックスでも、再生音量が下がると低域と高域が聞こえにくくなり、迫力が落ちたように感じます。

逆にいうと、大きな音で鳴らせば、低域も高域もよく聞こえるので、派手に感じるということです。

この効果はラウドネス効果と呼ばれています。

 

爆音ではバランスが取りにくい?

バランスを取るには小さなスピーカーが向いている

大きなスピーカーで爆音で鳴らすのは、ミックスには不向きと言えます。

大きい音で鳴らせば、バランスが悪くてもそれなりに聴けてしまうからです。

前述のラウドネス効果ですね。

 

レコーディングスタジオでも、スピーカーが大小の2種類あることが多いですが、このうち、「スモールモニター」とか「ニアフィールドモニター」とか呼ばれる小さな方のスピーカーが、主にミックス時に使用されています

 

「ラージモニター」と呼ばれる壁に埋め込まれた大きな方のスピーカーは、実はミックス時にはあまり使われていません

ただ、低域から高域まで幅広い周波数が聞こえ、微かなノイズの混入もよく聞こえるので、録音時には重宝します。

また、派手に聴こえるので、ミュージシャンにとっても気分よくプレイバックが聴けるわけです。

 

その為、録音時にはラージモニター、ミックス時にはスモールモニターと使い分けることが多くなっています。

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壁に埋め込まれたラージモニターとスタンドに置かれたスモールモニター 

 

スモールモニターでもまだデカい!?

自宅でラージモニターを使っているなんて人はそもそもいないと思います(当たり前か)。

が、ふつうの家庭環境で音楽を聴くことを考えると、宅録・DTMユーザーの使うスモールモニターでも十分にデカいんです。

 

この差を埋める為に、ミックス時にラジカセやミニコンポで音を確認するという人は結構多いです。

 

僕も、メインのスピーカーのほかに、超小型のLOGICOOL ステレオスピーカー Z120BWという約1,500円(!)のスピーカーを持っており、バランスの確認に使っています。

バランスを取るだけなら、むしろそちらの方が良いくらいです。細かいところは聞こえませんけどね。 

等ラウドネス曲線を曲作りやミックスに活かそう

フェーダーを上げずに音を際立たせる

等ラウドネス曲線を見てみると、人間は2〜4kHzの音が最もよく聞こえるということが分かります。

この特性を活かして、際立たせたいパートやフレーズは2〜4kHzをEQでブーストしてやると、フェーダーを上げなくてもよく聞こえるのです。

 

電話やラジオのような音を再現する

電話の音声伝送に使われている周波数帯域は300Hzから3.4kHzです。

できるだけ1回線分の周波数の幅を狭くして、極力多くの通信を確保しようとしたんですね。

これもやはり、人間がよく聴こえる帯域をカバーしておこうという考え方から決まった数値です。

 

これを利用して、低域と高域をフィルターで削れば、電話のような音を再現できます

 

また、「ラジオボイス」と呼ばれる、古いラジオのような音を再現するには、もっと極端に削って、2〜4kHzだけを残すようにします。

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ラジオボイスを再現

 

まとめ

・等ラウドネス曲線とは、異なる周波数で音を鳴らした時に、人間が等しく感じる音の大きさを表したもの。

・人間の聴覚の特徴として、低域や高域は、小さな音では聞こえにくい。

・バランスを確認するだけなら、小さなスピーカーの方が向いている。

・際立たせたいパートやフレーズは2〜4kHzをブーストしてやるとよく聞こえる。

・低域と高域をフィルターで削れば、電話のような音やラジオボイスを再現できる。

 

 

 

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*1:かつてはフレッチャー氏とマンソン氏の測定した「フレッチャー・マンソン曲線」が使われていました。

1950年代にはロビンソン氏とダッドソン氏の測定した「ロビンソン・ダッドソン曲線」がISO 226として国際規格化され、現在では2003年に誤差を修正したISO 226:2003が使われています。